2026/07/17(金)
割合(共有持分)をどう扱う?不動産売却の基礎
相続した実家や夫婦で購入した住宅、親子で所有している土地など、不動産が複数人の名義になっているケースは少なくありません。このような不動産を売却するときに重要になるのが「割合」、つまり共有持分です。共有持分は、それぞれの所有者が不動産に対して持っている権利の割合を示すものです。売却を進める際、この割合を正しく把握していないと、売却の可否や代金の分け方、共有者間の話し合いでトラブルになることがあります。今回は、不動産売却における共有持分の基本と、売主が事前に確認しておきたいポイントを解説します。
目次
共有持分とは何か
共有持分とは、1つの不動産を複数人で所有している場合に、それぞれが持つ所有権の割合を指します。たとえば、兄弟2人で相続した家を2分の1ずつ所有している場合、それぞれの持分は2分の1です。親が3分の2、子が3分の1を所有しているようなケースもあります。
この割合は、登記簿で確認できます。口約束や家族内の認識では「半分ずつのつもり」でも、登記上は異なる割合になっていることがあります。不動産売却では、基本的に登記上の名義や持分割合をもとに手続きが進むため、まずは登記事項証明書を確認することが大切です。売却前に持分割合を確認することは、共有不動産を扱ううえでの出発点といえます。
不動産全体を売るには共有者全員の同意が必要
共有名義の不動産を「不動産全体」として売却する場合、共有者全員の同意が必要です。持分割合が大きい人だけで勝手に売ることはできません。たとえ持分が少ない共有者であっても、その人の同意がなければ、原則として不動産全体の売却は進められません。
たとえば、兄が3分の2、弟が3分の1の持分を持っている土地がある場合、兄の持分が多くても、兄だけの判断で土地全体を第三者に売却することはできません。売却価格、売却時期、買主、引き渡し条件などについて、共有者全員で合意しておく必要があります。
共有不動産の売却では、価格よりも先に「全員が売る意思を持っているか」を確認することが重要です。特に相続不動産では、共有者が遠方に住んでいたり、連絡が取りづらかったりすることもあります。早めに意思確認を行い、売却方針を共有しておくことで、手続きの停滞を防ぎやすくなります。
自分の共有持分だけなら売却できるが注意が必要
共有不動産全体の売却には全員の同意が必要ですが、自分の共有持分だけであれば、原則として単独で売却することができます。つまり、他の共有者が売却に反対していても、自分が持つ2分の1や3分の1などの権利部分だけを売ることは可能です。
ただし、持分だけを購入しても、買主は不動産全体を自由に使えるわけではありません。そのため、一般の買主にとっては扱いにくく、売却価格が低くなりやすい傾向があります。また、親族で共有していた不動産に第三者が共有者として加わることで、残された共有者との関係が複雑になる可能性もあります。
持分だけの売却は、共有者間で話し合いが難しい場合の選択肢にはなりますが、価格面やトラブル面のリスクを理解したうえで判断することが必要です。安易に持分だけを売る前に、不動産全体を売却できないか、他の共有者に買い取ってもらえないかを検討することが大切です。
売却代金は持分割合に応じて分けるのが基本
共有不動産全体を売却した場合、売却代金は持分割合に応じて分けるのが基本です。2分の1ずつの共有であれば売却代金も半分ずつ、3分の2と3分の1であれば、その割合に応じて分配する考え方になります。
ただし、実際には単純に分けられないケースもあります。たとえば、購入時の出資額と登記上の持分割合が異なる場合、相続時に特定の人が管理費や修繕費を負担してきた場合、固定資産税を一人だけが支払っていた場合などです。このような事情があると、売却代金の分け方をめぐって不満が出ることがあります。
後から揉めないためには、売却活動を始める前に、売却代金の分配方法や諸費用の負担について共有者間で確認しておきましょう。不動産会社に査定を依頼する段階で、共有者全員が売却後の流れを理解しておくと、話し合いが進めやすくなります。
共有不動産を売却する前に確認したいこと
共有不動産を売却する前には、まず登記簿で名義人と持分割合を確認しましょう。次に、共有者全員の連絡先や意思を把握し、売却に賛成しているか、売却価格に希望があるかを確認します。
また、住宅ローンや抵当権が残っている場合は、売却代金で完済できるかどうかも重要です。空き家の場合は、管理状況や建物の劣化、残置物の有無も確認しておく必要があります。相続不動産であれば、相続登記が済んでいるかどうかも売却手続きに関わります。
共有者間の関係が良好であっても、お金が動く場面では認識の違いが表面化しやすいものです。「家族だから大丈夫」と考えず、持分割合・費用負担・売却方針を事前に整理しておくことが、円滑な売却につながります。
共有持分の売却で揉めないための進め方
共有不動産の売却では、感情的な話し合いになる前に、客観的な情報をそろえることが大切です。まずは不動産会社に査定を依頼し、現在の市場価格を把握しましょう。査定額が分かれば、売却するか、誰かが持分を買い取るか、しばらく保有するかを判断しやすくなります。
また、共有者の中に売却に反対している人がいる場合は、その理由を確認することも重要です。思い出のある実家を手放したくない、価格に納得していない、税金が不安など、理由によって解決策は変わります。必要に応じて、弁護士や税理士などの専門家に相談することも検討しましょう。
共有持分は、不動産売却の可否や売却代金の分け方に大きく関わる重要な要素です。不動産全体を売るには共有者全員の同意が必要であり、自分の持分だけを売る場合にも価格や関係性の面で注意が必要です。まずは登記上の割合を確認し、共有者全員で売却方針を話し合うことが、トラブルを防ぐ第一歩になります。不動産売却に関することは「群馬空き家相談センター」ラッキー不動産にご相談ください